隣の人がベランダにゴミを放置している!相談先や対処法を解説

更新日:2025年2月18日

隣の人がベランダにゴミを放置している!相談先や対処法を解説

マンションやアパートで「隣の人がベランダにゴミをずっと放置している…」「ゴミがあるせいで、窓を開けると嫌な臭いがする」など、隣人とのゴミを巡る問題が起こった時、どのように対処すればよいのでしょうか?

今回は、そんな隣人がベランダにゴミを放置していて困った時の相談先や対処法についてご紹介します。

1.そもそもベランダにゴミを置いてもいいの?

避難経路を塞ぐように物を置くのはNG

賃貸物件において、ベランダは「居住者の専有使用が認められた共有部分」になり、自由に何でもできるわけではなく、ルールに従って使用しなければなりません。

ベランダには避難ハシゴや隣との間に蹴破ることができる仕切扉が設置されており、緊急時には避難経路として、他の住人が使えるよう適切に使用する必要があります。

これは消防法で定められており、多くの賃貸物件において、賃貸契約書や管理規約で「避難経路を塞ぐように私物を置いてはならない」などのルールが記載されています。

「常識の範囲内」であれば問題ないことも

消防法や管理規約に則った使い方であれば、ベランダにある程度自由に物を置いても問題はありません。収集日までに一時的にゴミ袋を置いたり、蓋つきのゴミ箱の設置は許容される場合もあります。

逆にエアコンの室外機や物干しなど、必要最低限の私物以外の設置は禁止されている場合もあるので、まずはお住いの物件の管理規約を確認しましょう。

2.ベランダにゴミを放置するデメリット

ベランダの間に仕切りがあるとはいえ、ゴミを置かれるのはあまり気分の良いものではないですよね。隣人がベランダにゴミを置いていると、次のようなリスクがあなたに及ぶ恐れがあるので、注意が必要です。

ゴキブリやハエなど害虫が発生する

ベランダに生ゴミを放置している場合は、ゴキブリやハエなどの害虫が発生しやすくなります。たとえゴミ袋に入れていても臭いにつられ、害虫はやってきます。発生した害虫は当然ベランダだけに留まらず、室内へ移動したり、隣接するあなたの部屋やベランダにもやってきます。

どこからともなく悪臭がする

ベランダにゴミを放置すると、カビや菌が増殖し腐敗臭が発生するようになります。夏場や梅雨の時期であれば、より強い臭いを発します。あまりにもひどければ、窓を閉めていても臭ったり、外に洗濯物を干すのが難しいなどの支障をきたします。

隣のゴミがはみ出ててくる、飛んでくる

ベランダに放置されたゴミ袋は紫外線や雨風にさらされ劣化し、破れやすくなります。破れた袋から出たゴミが、仕切り板の下からはみ出てきたり、風で自分のベランダの方まで飛んでくるといった被害に遭うことも考えられます。

野鳥の被害に遭いやすくなる

ベランダにゴミがあることで、カラスなどがエサを求めてやってきたり、あさったゴミや糞でベランダを汚す心配があります。カラスは頭が良いので、一度エサにありつけると何度もやってくることもあります。

安全上のリスク

ゴミを避難経路を塞ぐように置いている場合、いざという時に逃げ遅れてしまう可能性があります。ゴミを退かすのに時間がかかり、ゴミを置いた本人だけでなく、隣人や上の階の住人も逃げ遅れてしまうことも考えられます。

3.隣人とのゴミ問題は非常に厄介

ベランダにゴミを放置されると、先ほど挙げたような問題もあるので、すぐに解決したいですよね。ですが、隣人とのゴミ問題は、次のような理由から解決が難しかったり、解決まで時間がかかることがあります。

①生活圏が重なるので、指摘しづらい

近所で顔を見合わせる機会も多いので、ゴミのことを直接注意するは気まずい…と感じる方もいるはず。また注意したことで、逆ギレや嫌がらせなどのトラブルに発展する可能性もゼロではないので、ゴミの放置について伝えるのは慎重になる必要があります。

②注意をしても改善するとは限らない

隣人がルーズな性格であったり、社会的ルールを軽視するタイプであることも考えられます。その場合、ゴミを置くのをやめて欲しいと伝えても、すぐに対応しなかったり、「注意される意味がわからない」「気にしすぎじゃない?」と共感してもらえず、聞き入れてもらえないこともあります。

③法的手段をとるのが難しい

ベランダのゴミ放置は賃貸契約違反と認定されにくく、即退去にはなりません。仮に訴えるとしても、ゴミの放置が原因の「実害」を証明できる証拠や、何度注意しても隣人が改善しない事実の立証が必要で、これには時間と手間がかかります。ゴミを放置している程度では、法的手段に出るのは難しいのが現実です。

④行政や警察の介入が難しい

公共の場でのゴミ問題であったり、不法投棄などの違法行為でない限り、行政や警察が介入することはできません。ゴミの放置は個人間のトラブルとして扱われ、最終的には管理会社や大家に対応が委ねられることが場合がほとんどです。

4.感情的になるのは危険!絶対にやってはいけないNG行為

隣人がベランダにゴミを放置していると「自分は綺麗にしているのに…」「なんで自分ばかり我慢しなきゃいけないんだ」と非常に腹立たしいですよね。とはいえ感情的になるのは危険です。

とくに感情に任せ、以下のような行為をとることだけは絶対にやめましょう。

①隣人に直接クレームを言ったり、手紙を投函する

住人同士が直接注意してしまうと、感情的になって喧嘩に発展しまう可能性があります。「お前に関係ないだろ!」と逆上されたり、報復などにより状況が悪化する心配もあります。

匿名で手紙を投函したとしても、一般住民からの注意はなかなか聞いてくれず、逆効果になるケースが多いです。挑発したり、刺激することは避けましょう。

②勝手にゴミを捨てる

どうせゴミだからといって、他人がベランダのものを勝手に捨てるのはNGです。ゴミであっても所有権が存在し、たとえ管理会社や大家さんであっても所有物を勝手に捨てる権利はありません。

また専有使用権が認められている部屋やベランダに勝手に入ることは、不法侵入にあたります。相手の同意なく、勝手にゴミを捨てることは絶対にしないでください。

5.隣人とのゴミ問題は、改善しない可能性も考えて対処する

本来は近隣住人への影響を考え、ゴミはベランダに置かない、仮に置いていても注意を受ければ、すぐに改善してくれる方がほとんどです。

ですが、ベランダにかなり長い間ゴミを放置したり、臭いや害虫の発生、ゴミがはみ出ているにも関わらず放置を続けている場合は、こちらの常識が通じない恐れもあります。

ゴミ問題に対処するときは、以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 「注意をすれば直る」と思わない
  • 必ず第三者(管理会社など)を通じ、冷静に対応する
  • 問題解決には時間がかかることを念頭に置く
  • 最悪の場合、引っ越しを視野に入れる

「ゴミ出しのルールを守る」「隣人に配慮する」というのは個人のモラルや日常の延長線上にあります。人の長年の生活習慣や価値観は簡単には変えられません。

ゴミ問題に対処するときは、「隣人を変えるのは難しい」という前提で、自分がどう動くかを考えるほうがストレスを減らしたり、客観的な解決策を見出すことに繋がりやすいということを、ぜひ覚えておきましょう。

6.隣人とのゴミ問題解決のためのステップ

では、これまでご紹介した内容を踏まえ、実際に問題解決に向けたステップをご紹介します。

ステップ1 賃貸契約書や管理規約の確認

まずはあなたが住む賃貸物件では、そもそもベランダにゴミを置いてもいいのか、賃貸契約書や管理規約の「禁止事項」や「使用ルール」を確認しましょう。

事前にルールを知っておけば、根拠をもって苦情を伝えることができます。また大家さんや管理会社への相談もスムーズにできます。もし、規約に明記されていない場合は、管理会社や大家さんに連絡し、確認をしましょう。

ステップ2 被害状況を記録する

いつからゴミが放置されているのか日時をメモしたり、ゴミがこちらのベランダまではみ出しているのであれば、その様子をスマホで撮影するなど、第三者に伝わりやすい証拠を残しておきましょう。

状況を説明するときに役立ちますし、被害の深刻さも伝わりやすくなります。今後もし行政や法的手段を頼ろうと思ったとき、証拠としても有効になります。

ステップ3 大家さんや管理会社に相談

繰り返しになりますが、ゴミ問題は行政や警察の介入が難しいです。そのため大家さんや管理会社がどれだけ積極的に動いてくれるかが解決のカギになります。

そのためにも大家さんや管理会社に相談するときは、以下のポイントをもとに伝えましょう。

①事実を具体的に伝える

「隣人がベランダにゴミを置いている」だけでは対応が難しいので、どのような問題が発生しているか、用意していたメモや写真などの証拠をもとに具体的に伝えましょう。できれば、実際に現場に来てもらうとより説得力が増します。悪臭のように状況が口頭で伝わりにくい時にも有効です。

②感情的にならず相談ベースで話す

「すぐに隣人を退去させてほしい」など、強い要求は逆効果です。大家さんや管理会社の協力なしに解決はありえません。感情的にならず「ゴミの放置をやめて欲しい」「注意喚起して欲しい」など、具体的な対応をお願いすることが大切です。

③どのような対応をしてもらえるか確認する

直接注意するのか、掲示板で周知するのかなど、具体的に「いつまでに」「何をしてくれるか」きちんと確認しておきましょう。目安が分かることで安心しますし、長期間問題を放置されることを防げます。また大家さんや管理会社が適切な対応をしてくれるか、見極めることができます。

④匿名で対応して欲しいと伝える

隣人とのトラブルを避けるためにも、「隣人に自分が言ったと分からないように対応してください」としっかり伝えましょう。最初は個別で指摘するのを避けてもらったり、「複数の住人から苦情がありました」など、言い方を工夫してもらうようにしましょう。

ステップ4 改善しないなら再度相談

それでも改善しない場合は、「その後どうですか?」「まだ改善されないのですが、何か対策されていますか?」と再度相談や確認をしましょう。

短期間に何度も連絡するのは逆効果ですが、複数回相談することで、放置されるのを防ぐことができます。また改善しない隣人に対し、より強い対策を講じてくれ、対応が進む可能性が高まります。

ステップ5 可能であれば他の住人の意見も集める

ほかの隣接する住人も同じような被害を感じている可能性もあります。自分だけでなく、他の住人の意見が集まると「個人のクレーム」ではなく「住人全体の問題」として扱われ、優先度も高くなります。

ステップ6 自治体の生活課に相談

大家さんや管理会社が適切に対応しても、なかなか解決しない場合は、自治体の生活課に相談するのも一つの手段です。自治体の生活課では、ゴミ出しなど生活に関連する近隣トラブルの相談ができます。

先ほどのよう複数人の住民の意見があると、「地域の環境問題」として認識され、対応してもらえる可能性が高くなります。また行政の介入が難しい場合でも、アドバイスや適切な相談先を紹介してもらえることがあります。

ステップ7 嫌がらせに発展したら警察に相談

仮に注意したことで隣人が嫌がらせをしてきたり、より悪質な状況になった時は、警察に相談をするのも一つです。緊急性はないが、生活の安全に関する不安や悩みがある時に相談できる、警察相談専用電話「#9110」番というものがあり、対処方法についてアドバイスをしてくれます。

もし、トラブルが極めて悪質であれば、警察から隣人に指導や警告を行ってくれることもあります。

ステップ8 弁護士に相談

最終手段として弁護士に相談することも検討できます。弁護士会の無料相談などを利用して、どういった対応ができるか確認するのも一つの手です。

悪質な状況であれば、慰謝料請求などを求める民事訴訟を検討することもできますが、やはり時間や費用がかかるという点に注意が必要です。

7.まとめ

隣人がベランダのゴミ放置をして困った時、まず第一に冷静に大家さんや管理会社に相談し、適切な対処を求めましょう。

また、ゴミ問題がすぐに解決しない場合、最終的に「自分が引越しをする」という選択肢を持つことも大切です。なかなか変わらない環境に執着するよりも、変えられる部分に目を向けるほうが、ストレスの少ない対処が可能になると思います。

隣人とのゴミ問題が起こった時は、ぜひ今回ご紹介した方法を参考にしてみてくださいね。

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